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心理カウンセラーの歴史
悩みや心のトラブルを抱えている方のために、心理的に入り組んだ問題を解きほぐして解決に導く役目を果たすのが心理カウンセラーです。
この職に就く方々は、現在の社会の複雑な環境や家族内の構造など繊細で入り組んだ問題を把握し、それぞれの方の性質などに合わせて解決の道を見出すわけです。
そして、その作業を行うために用いるのは、学問としての心理学です。
これを軸として、精神分析や心理療法などいくつかの方法を用いて、もつれた人の心を解いていきます。
心理学の歴史自体は深いものですが、それを用いたカウンセリングという形が表れたのは、意外と最近です。
この分野はどのようにして成り立ってきたのかを見ていきます。
カウンセリングの根本にある心理学
心理カウンセリングを行うには、その根本にある心理学を理解し、そこから派生したさまざまな心理療法を用いる必要があります。 この心理学の知識がベースになければ、その作業を進めていくことができないのです。 カウンセリングという作業が行われるようになったのは20世紀に入ってからですが、心理学自体の研究はかなり昔から進められていました。
中世まで

中世までの世界では、心理学という概念自体は存在せず、人の心理を説く学問として哲学が浸透していました。 哲学の源流は主にギリシャを中心とした西洋・インドや中国など東洋に端を発するものに大別されます。 その中で、現代の心理学に通じるものとして挙げられるのは、ギリシャの学者が提唱してきた西洋哲学です。
17~19世紀頃
17世紀頃から心理の仕組みを学問として捉える動きが発生します。 デカルトなどの哲学者が学問としての思想を提唱し、その流れを汲んだジョン・ロックがそれを科学的に説くようになったとも言われています。
19世紀後半~
そして、心理学を完全に哲学と切り離されて独立させたのがヴントであるとされます。 ヴントが実験を重ねて人の心理を科学的に立証させる動きを作り出したのが1879年であり、この年が心理学確立の年と位置付けられています。 その後、フロイトが創生した精神分析やユングの心理学などへと派生し、現在の精神医学や心理療法とも深くつながることとなるのです。
心理カウンセリングの歩み

20世紀初頭までにさまざまに成立していった心理学や精神医学などの要素と、それをもとにした心理療法に基づいて進められていくのが心理カウンセリングです。
この作業自体はアメリカで発祥し、ハイスクールを卒業する生徒が就職するための相談や指導が始まりであるとされています。
その後、この作業が大きな功績を挙げるのが第二次世界大戦後であるとされます。
戦争によって深く傷つき、PTSDなどの神経症を発症した兵士のケアや社会復帰に大きく貢献しました。
その動きもあって、職業としての心理カウンセラーという位置も確立され、その存在が広く認識されるようになっていったのです。
その動きとともに、さらなる心理分野の研究が進められ、今日のようなさまざまな治療パターンの創生に至っているわけです。
こう見ると、心理カウンセリングの歴史自体はまだまだ浅いものと言えます。
さらに日本においては、心理的なケアや治療という概念が一般化するのがアメリカやヨーロッパなどと比べて後れを取っているため、
日本国内だけに目を向けるとまだまだ発展途上の分野と言えるでしょう。
日本での心理カウンセリング

日本で初めて心理カウンセリングの概念が取り入れられたのは1951年であると言われます。
国内の中学・高校のうち数校程度にカウンセラーを設置したり、カウンセリングについての計画が取り上げられたりといった動きがありました。
しかし、それはごく一部でしか行われておらず、そこから急速に浸透することはしばらくなかったのです。
社会の流れとしてはちょうど高度経済成長に向かう時期にあり、その後国全体が豊かに安定していくこととなります。
その流れにあってカウンセリングの位置とは、個人それぞれの悩みに向き合うものというよりは社会的に生じる精神疾患や神経症などを早急に治療し、
社会の流れを管理するという色合いが強かったと言われています。
しかし1990年代に入って増加し続ける精神疾患や神経症での受診率、また自殺や暴行、不登校などといった社会的な問題の噴出はとどまることを知りません。
このような背景があり、心理カウンセリングや精神疾患の治療などメンタル面でのケアが重視されるようになってきました。
こうした動きを受けて、心理カウンセリングの需要は年々高まりつつあり、またこの職業を志望する方も増加する傾向にあります。
心がもたらすさまざまな問題は、研究の結果や情勢の変化などにより、非常に多様化しています。
今やある一定のパターンに患者を当てはめて画一的に指導や治療を行うわけにはいかなくなっているのです。
そのため、心理カウンセラーにはこれまで先人が培ってきた理論や分析、多様な治療方法などあらゆる知識を駆使し、幅広いパターンに対応できることが求められています。
社会情勢の変化によって、新たな症例も確認されるようになっており、この分野においてもさらなる研究が重ねられるでしょう。
その中で常に知識の習得や認識の修正などが行われてしかるべきです。
そのような動きにも柔軟に対応できるカウンセラーが必要なのです。