心理カウンセラーの手法・技法


 人間の心理とは非常に複雑に構成されています。 さらに目に見えないものだけに、心理カウンセリングに関してはさまざまな角度からその問題を見据えて取り組むことが求められます。 カウンセリングを受ける方それぞれに問題が異なる上、その方の性質や生い立ちなどによっても今の状態を解きほぐす方法を変えなければ効果がないのです。
そのため、適切な手法や技法を使って慎重に進めていく必要があるわけです。 それを実現させるために、心理カウンセラーは非常にたくさんの知識を持ち、それを駆使して作業に臨まなければならないのです。

 心理カウンセラーに求められる知識、そしてそれに基づくカウンセリングの手法や技法とはどのようなものでしょうか?


基本的には受容と理解


 人の心理とは、何かうまくいかないことがあったときに無意識に自分の感情を抑圧する仕組みが備わっています。 その過程が無意識であるため、その結果顕在して表に出てきた反応がなぜ起きているのかがわからなくなり、さらにはその顕在化した現象だけを取り上げて何とかしようと思ってしまうのです。
しかし、根本的な問題解決のためには、無意識に閉じ込めてしまった感情がどのようなものであったかを突き詰める必要があります。 自分自身では無意識に閉じ込めてしまったものを引き出すことが困難であるため、心理カウンセラーの力を借りて根本の問題を探し出すのです。 この過程で、カウンセラーは表面に顕在化した問題だけに対して具体的なアドバイスや方法の提示を行うことはしません。 それは表面上の解決に過ぎず、場合によっては無意識の抑圧を余計強めてしまうことにもなりかねません。
クライアント自身が自分に潜む問題に気づくためには、心理カウンセラーはまずクライアントの話を聞くことから始めます。 そのときも、カウンセラーが話の流れを主導するのではなく、あくまでクライアントの心の流れを重視します。 これによって、クライアントは自分を受け入れてもらえた、また理解してもらえたと感じることができ、より自分の心の奥底を見るように自然と促されます。 やがて自分に潜んでいる感情に辿りつくことができるという考え方です。


心理学から見た理論をもとにする


 しかし、ただクライアントの話を聞くだけではほったらかしにもなりかねません。 カウンセラーはその過程の中で、心理学からくる手法に基づいてさまざまな方法を駆使します。 そしてそれは、根本的な理論に基づくものであり、理論から繰り出される手法をいろいろなケースに応じて用いることとなるわけです。
では、その理論として心理療法に焦点を当て、そこにある基本を見ていきます。


精神分析

 心理学の先駆者でもあるフロイトが提唱したもので、無意識に潜在しているクライアントの意識を意識下にさらすことで解決を図っていくことが主なコンセプトとなります。 この方法を行うときは、クライアントが緊張をほぐした状態で自ら自由に話すことで、その内容に潜んでいる無意識の抑圧や過去の辛い体験などを察知し、 それに向き合うという方法が採られます。人によってその解放度が異なることもあり、時間を要する方法です。


来談者中心療法

 心理学者のロジャースが提唱した方法で、クライアントの話をよく聞き、無条件で受け入れ、共感するということから始まります。 クライアントは自分自身を受け入れ、現実の自分とこうありたいと願う自分の間にギャップがあることを知っていくのです。 クライアントが自分を見つめ直すことで再成長できると考える方法です。


ゲシュタルト療法

 精神科医のパールズが提唱し、クライアントが断片的に抱える問題に気づき、受け入れることで全体的に成熟したものとして統合していくという考え方です。 具体的にはクライアントにさまざまな立場から自分とは違ったものを演じたり対極にある言葉を発したりすることで、そこに生じる違和感などから本当の自分に気づき、 それを受容していくという流れが一般的です。


論理療法

 心理学者のエリスが提唱したものです。 特に強迫性の強い症状に用いられるものであり、具体的にはカウンセラーがクライアントの問題点や考え方のひずみなどに対し、あえて指摘を行うなどして揺さぶり、 たくみに説得を行うという方法です。方法を間違えると決裂やさらなるプレッシャーへと導く可能性があるため、技術が必要です。


行動療法

 アイゼンクを始めとした心理学者が先頭を切って実践してきた方法です。 クライアントが抱えている問題を先天的なものや成長の過程によってゆがみが生じたものと捉え、 主観からはずれた視点で分析した後にその問題にかかわる行動をクライアントに起こさせて改善に導くため、このように呼ばれます。


その他用いられる療法

 また、手法として用いられるその他の方法としては、ミニチュアの庭をクライアントの自由に作らせ、潜在的に隠れているものを 見出す箱庭療法、またクライアントが育った環境にスポットを当て、家族全体の像を見ながら進めていく家族療法などがよく用いられます。
いずれの理論に関しても療法に関しても、クライアントがたどってきた成長過程や置かれていた環境、もともとの性質、そして何より 現在抱えている問題の質など条件が多種多様に異なるため、慎重に進めていくことが必要です。 場合によっては、同じ心理療法と言っても全くベクトルの違う方向に持って行ってしまう結果となり、最終的にカウンセリング自体が決裂に終わってしまうこともありえます。
クライアントごとの問題を見極めること、またそれぞれに適切な方法を採ること、そしてその方法を高精度で実践できることが心理カウンセラーに求められる技術です。


 心理カウンセラーは、ただ人に優しいだけでは務まりません。 ときには、非情になって客観的姿勢を保たなければならないこともありますし、クライアントに肩入れしてしまっては共倒れになる危険性もあります。 それを踏まえて、いろいろな手法・技法を実践できるカウンセラーが求められています。


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